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国内準優勝

Origami-hand

紙のみで構成されるロボットハンド

  • 5本指モデル(手の甲)

  • Origami-handを用いた簡単な実験。

    Origami-handを用いた簡単な実験。

  • 組み立て方

  • 把持物体の形によって受動的に動作

  • 5本指モデル(手のひら)

  • 2本指モデルとプロトタイプ

概要

Origami-handは紙を折って組み立てる使い捨て可能なロボットハンドである。複雑な動作が可能なハンドを低価格で実現することで、ロボットの適用範囲の拡大を目指す。


経緯

高齢化が進んでいる現在、人手不足や重労働の問題を解決するためにロボットの導入が進んできている。しかし、ロボットを適用することがまだ難しい環境も多数存在する。 食品加工工場もその一つだ。様々な種類の食品に対応する必要があり、同じ食品でも大きさや形にばらつきがある。しかし、それぞれの食品に対して専用のエンドエフェクタを用意するとコストが上がってしまう。また、衛生面の管理も課題だ。 そこで、使い捨てができる汎用性の高いロボットハンドを低価格で実現することでロボットの適用範囲の拡大を試みる。


機能

Origami-handには2つの大きな特徴がある。一つは、それぞれの指が耐水性のある1枚の紙で構成され軸や軸受けなどといった機械部品を一切使必要としていないことである。そのため、関節の間に異物が入り込まず、安価で使い捨てができるため衛生的な心配をする必要がない。もう一つの特徴は把持する物体の形に合わせて受動的に動く「なじみ機構」という機構を取り入れていることである。これにより複雑な制御なしに食品の形や大きさのばらつきに対応することができる。 これらの特徴を持っているため、工場以外の多くの場所でもこのハンドは利用できる。紙でできているため軽量で、倍率を変えれば大きさも自由に調節できるため義手として利用したり、ドローンへの搭載することも容易にできる。また、潤滑油を必要とする機械部品を使用しないため宇宙空間や深海での運用も容易に行うことができる。


開発過程

所属している研究室がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で汎用性の高いロボットハンドの研究を行っていた。それを斬新な形に進化できないかと考え、「折り紙」からアイディアを得て、紙を折ってロボットハンドを構成した。最初のOrigami-handは指1本のみで、CADで設計した展開図をコピー用紙に印刷し、手作業で切り取って組み立てた。その後、10個以上の試作品を製作し改良を重ねた。現在は人差し指と親指を持つ2本指モデルと、人間の手に似せた5本指モデルもの2つがある。2本指モデルでは実際に弁当具材を想定した把持実験を行った。今後は5本指モデルでも実験を行う。


差別化

複数の指を持つ既存のロボットハンドの多くが軸や軸受け、ネジなどの機械部品を使用しているのに対し、Origami-handは紙の折り目を関節のヒンジに利用しているため、故障のリスクが小さく、ハンドの組み立ても簡単に行うことができる。そして安価に製造し使い終わったら交換するという使い方が可能で、従来のロボットハンドで課題となっていたコストや整備性・衛生面などの問題を解決することができる。 指の関節一つ一つにモータを使用しているわけではないが、「馴染み機構」を搭載することで少ないアクチュエータで様々な形状の把持を行うことができる。 このように紙で構成されていてアクチュエータ数も少ないという理由から、とても軽量である。現在、特許を申請中。


将来の計画

将来的には様々なロボットのエンドエフェクタとして実用化をしたいと考えている。現在は耐久性やグリップ力をさらに強化して最低でも1kg程度のものを把持することができるような改良モデルを設計中である。また、構造をさらに簡易化して組み立てやすくすることで、子供向けのロボット学習キットとしての販売も検討している。


他アワードでの受賞歴


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