概要
Charmyは、ベビーカーのハンドルにかかる荷重を検知し、転倒の危険性を伝える安全装置です。ハンドル部にかかる「危険な重さ」を伝達し、ベビーカーの転倒を防ぐことを目的としています。
経緯
近年、ベビーカー使用中の転倒により幼児が大怪我を負う事故が増加しています。独立行政法人国民生活センターの調査によると、2014年~2019年の間にベビーカーごと転倒あるいは乳幼児が転落して怪我をした事例が288件寄せられています。中には、転倒によって地面に転落し、外傷性くも膜下出血を引き起こす大怪我に繋がったケースもあります。また、同センターが実施した、転倒を経験した使用者に向けたアンケート調査によると、原因は「荷提げフックの荷物」と回答した人は全体の71%を占めました。しかし、荷提げフックは荷物の出し入れがしやすく利便性が高いため、危険性を認識していてもベビーカーに後付けしてしまう人が多い状況です。このように、荷提げフックによる転倒事故が多発しているにも関わらず、ベビー用品メーカーの対応としては、取扱説明書による注意書きのみとなっており、具体的な対策が取られていない現状です。Charmyは、この問題を解決する役割を担うプロダクトです。
機能
仕組みは、既存の荷下げフックに感圧センサー/小型圧電スピーカー/LEDランプを組み合わせた簡単な構造です。ブザー及びLEDによってハンドルの荷提げフックにかかる危険な重さを伝達します。まず、感圧センサーによって、ベビーカーのハンドルにかかる危険な重さ(ハンドル部片側1.2kg)を検知すると、制御された圧電スピーカーとLEDランプが作動し、危険を伝達します。また、本プロダクトは、現行ベビーカーの外観になじむ外観デザインを施しております。使用者が、本製品を使って子どもの安全を守りたいと思えるような、シンプルでアイコニックな親しみのある外観デザインを目指しました。
開発過程
①コンセプト提案: 日本において、ベビーカーの転倒は社会問題の一つとなっていますが、メーカー側は転倒しないベビーカーを作るコストをかけられない現状です。そんな中で、私たち消費者がこの課題を解決する糸口を見出すことができれば、企業そして社会全体が問題意識を持ち、行動に移すことができるのではないかと考え製品提案に至りました。 ②試作段階: 試作段階では、感圧センサーの測定値を微調整しながら簡単に検証できる専用の治具を作成し、センサーの値や荷重条件を決定しました。また、本体の外観デザインに関しても、様々な試作を製作し、マイコンやセンサーの配置計画を元に適切な大きさを検討していきました。 ③小型化: 初期プロトタイプ制作時は、本体のサイズを気にせずセンサーの動作確認を行いました。 実機制作に向け、中身の基盤やマイコンのサイズをコンパクトに収めることに成功しました。 ④操作性(アフォーダンス): Charmyをベビーカーのハンドルに取り付ける際、使用者が迷わず取り付けられるよう、できるだけ従来の荷下げフックと同じ操作になるよう工夫しました。 電源のon/off、取り付け、充電の操作を自然に操作できるよう部品の配置にこだわりました。
差別化
現在、荷下げフックの市場では単に荷物を掛けるためのフックとして販売されている商品がほとんどであり、荷重検知機能や危険伝達機能を持っていません。Charmyは、この点で他の製品と差別化できると考えております。 また、Charmyを使うことによって使用者が楽しく育児ができるよう可愛らしい外観を目指しました。
将来の計画
今回開発したCharmyは、ベビーカー操作における問題解決に焦点を当て、「荷重検知と危険の伝達」を目的とした安全装置を開発しました。しかし、ベビーカー操作以外にも「荷重検知と危険の伝達」の機能を利用して問題解決できる事例は多くあります。例えば、2018年の東京新聞の記事によると、ランドセルの荷重により腰痛を訴える子供が増加しています。ゆとり教育後、厚くなった教科書をランドセルに詰め込むことによって子供の肩に最大11kgの重さを受け成長の妨げになっている事例があります。将来的には、Charmyが持つ「荷重検知と危険の伝達」という基幹機能を崩さず外観形状や情報の伝達方法を変えていことで様々な危険を防ぐプロダクトを提供できると考えております。Charmyはそれらの問題を解決する第一歩となるプロダクトです。
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